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消えゆくモール - アメリカ・ショッピング・モールの現在 - [united states]

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ハワイのアラモアナ・センター、ロサンゼルスのセンチュリー・シティなど我々日本人観光客を魅了するアメリカのモール。どこも盛況で観光客にはアメリカを感じさせる場所に感じますが、実はこのモールが最近曲がり角に来ています。今回はアメリカを象徴し、我々日本人観光客を喜ばせてきたモールの魅力と問題点に迫ります。

私にとって初めて目にしたモールは映画「Dawn of the Dead」に登場するペンシルバニアのモンロービル・モールです。ゾンビに追われてきた人間達がこのモールに籠城します。モールには食料品、衣類がふんだんにあり、暫くはここで生活できるという設定でした。同様に現在人気のドラマ「ウォーキング・デッド」でも大きなショッピングセンターが登場しました。モールは豊かさの象徴でもあるのです。
ドラマや映画にも登場する程、アメリカではモールは生活に密着していて、誰もが週に1回はモールに行くと言われるほどです。80年代にはモールキッズという言葉も生まれ、若者達は時間があるとモールで遊ぶという現象が起きました。もはやアメリカ人にとってモールは生活の一部となっているのです。

モールの歴史
アメリカにおいて、モールブームは1950年代に始まっていました。
郊外型大規模ショッピングモールの産みの親として知られてるオーストリア・ウィーン出身の建築家であるビクター・グルーエン氏が、1956年ミネアポリス州に建設されたサウスデール・ショッピングセンターを手がけ成功を収めました。その後、1950年代後半から60年代にかけ、アメリカでは郊外型ショッピングモールが著しい発展を遂げます。そしてこの手のモールを専門に開発する企業が登場します。サイモンやピラミッド・カンパニーなどです。彼らは、徹底的な市場調査でモールの経営が上手くいく確信がある町の郊外に土地を購入し、不動産開発を行いました。これで次々とアメリカ中の安い土地が、高利益を上げるモールに生まれ変わりました。オーストラリアの企業ウェストフィールド社も1977年にアメリカ市場に参戦し、大都市郊外に高級モールを展開します。これにより全米の都市にモールが広がることとなります。
モールの基本構造は、基本的にどこも同じです。アンカーと呼ばれるデパートを数店誘致します。メーシーズやJ.C.ペニー、ボスコフなどが有名です。これらの間を結ぶ形で通路が作られます。デパートが2つの場合は、I型と呼ばれ双方のデパートの間に数十の店舗を並べます。デパートが3つの場合はT型と呼ばれTの形をした道を作るのです。それぞれの先にはデパートがある構造です。集客が見込まれる場合は、この通路は2階建てになります。通路にはモールキッズが喜びそうなブランドが並びます。GAP、アバクロなど、その時勢いのある店舗が誘致されています。モールの建物の周りには十分すぎるほどの駐車場が整備され、駐車場内には車のリペアセンターやタイヤ屋さんが敷設されていたりもします。
モールの周りにはオープン時は何もないのですが、集客が見込めるため、近くの地価は高騰します。そしてそこに路面店や映画館が出現し、モールの町は巨大化していきました。

1980年代から90年代のアメリカはモールの黄金期でした。
ニューヨークに行った際、時間があればパラマスという町に足を伸ばしてみて下さい。今でもモール黄金期のような光景を見ることができます。マンハッタンから車で30分のところにあるこの町にはモールが5つあります。その周りにはIKEAなど巨大な路面店が建ち並んでいます。アメリカにおけるモール・シティの典型が目の前に広がります。その中でも一番大きなガーデン・ステート・プラザには1日いても周り切れないほどの数の店舗が並び活況を呈しています。
このようなモールが大人気となりアメリカでは住人だけでなく旅行者にも”モールに行く”ことが当たり前となっていきました。

モールの現在
モールが出現してから50年以上を経た現在、多くのモールでは老朽化が進んでいます。1969年にオハイオ州トレド郊外に誕生しデパートのSearsやJ. C. J.C.ペニー、映画館などの施設を併設して多くの買い物客を集めていたウッドビル・モールも、すでにその役目を終えてしまっています。

現在のモールの姿をいくつか紹介しましょう。
1.モールの乱立
近くに新しく大きなモールが出現することにより、町の中心であったモールが衰退します。そして新しいモールが町の中心となっていくのです。
ニューヨーク郊外のナニュエット・モールは90年代、町の中心で町を経由する全てのバスのターミナル機能も持っていました。そのため住人のおおくはこのモールを経由することになり大繁盛したのです。しかし1998年に車で5分の場所に東海岸最大と言われる巨大モール、パリセード・センターがオープンします。この新モールの登場によりナニュエット・モールにあった店は次々に撤退し、もぬけの殻となってしまいます。そして2012年閉鎖してしまいました。このようにモールの乱立で限られたパイを奪い合うことで、それまでのノスタルジックなモール文化が簡単に崩壊されていきました。
2.ネットショッピングの台頭
2013年のアメリカでは全消費の6%がネットショッピングになっています。これはかなり大きな数字です。これにより消費者はモールで大きな家具やかさばるトイレットペーパーを買わなくなってきました。だんだんモールに行く必要がなくなってきているのです。今でもモールで食事をしたり服を購入したりする人が大勢を占めますが、GAPは、モールでの売り上げはもはや伸びないという決断をしたそうで、今後はモールへの出店を減らし、都心の路面店と通信販売に主軸を移すそうです。
3.モール城下町の消滅
モールへの集客が減っていくと、当然その周りにできた路面店も集客が減っていきます。モールは心臓のようなもので、血液のような役割をする客が減ると、その近辺の細胞が死滅していくのです。モールにある程度集客力があれば、まわりの経済も動いています。しかしモールに活力がなくなるとまずモール城下町が消滅していくのです。

アメリカでは、このように本来の役目を終えて廃虚となりつつあるモールや近隣の店舗群が多く存在しており、それらを集めたサイト「DeadMalls.com」が開設されているほどです。役目を終えた後も地域のコミュニティカレッジとして再生するもの、企業が購入して社屋に使用されるもの、教会として生まれ変わるケースもありますが、多くの建物には老朽化が見られることもあり、最終的には取り壊されることがほとんどです。
この状況を、アメリカでも最大の不動産デベロッパであるカルーソ社のリック・カルーソ氏は「今後10年から15年の間に、典型的なアメリカ型のショッピングモールは過去の遺物となっていくでしょう。もはや、住民・小売業者・コミュニティからのニーズに合致しない存在となっていくと考えられます」と、全米小売業協会の年次総会の場で発言しています。

モールの未来
おおくのモールは経営が行き詰まっています。そんな中、新しいタイプのモールの人気が出てきています。それは”買い物のために行く場所”ではなく”生活のために集まる場”としてのモールです。

mall02.jpg生き残りのための方策として、「施設のリノベーション」があります。近年のモールの多くは、外光が施設内に差し込むような開放的な空間を提供するものが多くなっています。従来型の灰色のコンクリートで囲まれた「グレーボックス」と呼ばれる施設は明らかに現代の主流から遅れているからです。
建物内に人びとが行き交う「ストリート」を作り、ジムや各種イベントを行える「広場」に人びとを集め、構造を変えて行くことで集客力を向上させようとするのが狙いです。

ロサンゼルスのザ・グローブは、面積あたりの売上額が全米トップ15にランクインするモールとして成功を収めています。ここは、天井がないオープンタイプのショッピング・モールです。まるでディズニーランドに来ているような美しいデコレーションです。ここには、ノスタルジックな外観ですが最新設備を整えた映画館や、LAフードが集まったファーマーズ・マーケットを隣接させ、買い物をしなくても楽しめるエリアとして大成功しています。
カリフォルニア州グレンデールにあるアメリカーナ・アット・ブランドは、敷地内に数百戸の高級マンションを構え1つの小さな街と呼べるほどの規模を持ち、集客・出店の両面で盛況を呈しています。
mall03.jpg前述のナニュエット・モールは、建物を全て壊し、2013年に新しくザ・グローブに似たモールをオープンしました。ここも人気が出てきています。

このように、従来からの「グレーボックス」タイプのショッピングモールには厳しい時代が訪れていますが、対応次第によっては明暗がはっきり分かれる状況が生まれており、人びとの青春時代を彩ったショッピングモールにノスタルジーを感じることも少なくありません。

我々観光客にとってアメリカのモールは今でも観光目的のひとつとなっているのではないでしょうか。ただ買い物をするだけではなく、ここで記したような視点からモールを巡ってみるのもおもしろいでしょう。

引用:deadmalls.com gigazine.net
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コメント 6

YAP

けっきょく、ショッピングモールってどこも似てきてしまって、飽きられたんでしょうね。
アリゾナの町外れみたいなところにも突然現れたりしますが、冷静に考えると、そんなところに未来永劫続く需要があるはずないですから。
by YAP (2014-05-02 16:51) 

さうざんバー

おはようございます(^^)ご訪問&niceありがとうございました(^^)
日本も巨大モールがたくさんありますが、これをお手本にしていけるのかぁ~??ちょっと心配になりますね(^^;)
by さうざんバー (2014-05-15 08:07) 

tamannugara

こんにちは。モールって好きです。安全で綺麗な上に、お腹が満たせて、くつろぐところもあって、なおかつお手軽。「時間があるとモールで遊ぶ」って娯楽の少ない発展途上国だけなのかと思ったました。豊かな国でもそうなんですね。考えてみれば自分もそうだ(w
by tamannugara (2014-05-17 13:34) 

Traveler

YAPさん、こんにちは。
これからマーケットにあった業態変化をしないといけない業種です。どんな変化を見せるのか楽しみです。
by Traveler (2014-05-25 22:54) 

Traveler

さうざんバーさん、こんにちは。
日本も数年後には同じ問題を抱える事になりますね。
少し先を行くアメリカの状況を検証しないと同じ失敗をすることになりますね。
by Traveler (2014-05-25 22:54) 

Traveler

tamannugaraさん、こんにちは。
アメリカは広大で、住んでいる地域に大きな町がないところがおおくあります。そういった地域ではモールが町の中心になるんです。ニューヨーク等の都市部ではモールが乱立してしまい、淘汰の時代になっています。

by Traveler (2014-05-25 22:57) 

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